4歳2カ月の男のお子さんのいる読者の方から、このようなご質問をいただきました。
「息子の足が少し外反母趾気味になっていることに気づき、ショックを受けています。予防方法、トレーニング方法などがあれば教えていただきたいです」
(※出典:photo-ac本文とは関係のないイメージです)
息子さんの足の外反母趾を心配され、予防方法やトレーニング方法などがあれば知りたいとメールをくださったお母様は、足の幅が細い息子さんに合わせて、ドイツ製の細幅の子ども靴を専門店で選ばれているそうです。
息子さんの足は、日本人に多いエジプト型(親指が一番長い形の足)だそうで、「足型と靴のつま先が合わない部分もあるのでしょうか」と気にされていらっしゃいます。
足に気になる症状がある場合は、まずは整形外科など専門医に相談されるよう、私はおすすめしています。
そのうえで、本日は「外反母趾になる根本的な原因は、足のアーチの力が弱いことにある」ということをお伝えしたいと思います。
なぜ足のアーチの力が弱いと外反母趾になるのでしょうか。
「外反母趾が起こる理由」、そして「足のアーチ力を弱めてしまう靴とは」「足のアーチの力を高める方法」についてご紹介します。
どうして外反母趾になるの?
外反母趾の原因で最初に思いつくのは、「つま先が細い形で足指を圧迫してしまう靴」ではないでしょうか。
もちろん、足指が圧迫されることも原因の一つになるのですが、つま先の細い靴を履かない人にも外反母趾は見られます。
なぜかというと、根本的な原因は「足」そのものにあるからです。
足の横アーチの弱さから外反母趾に
健康な足は、靭帯や筋肉の力で骨格をアーチ状(中央が上の方向に凸な曲線)に形作り、足にかかる体重を無理なく支える仕組みになっています。
ところが、この靭帯や筋肉の力が弱く、足のアーチが形成されていないと、足への体重のかけ方がアンバランスになり、変形が起こりやすくなります。
外反母趾では多くの場合、足の横アーチ(親指と小指の付け根を結ぶアーチ)の弱さが見られます。
足の横アーチが、凸状ではなく平らになっていると、足の親指を動かす筋肉の使い方に偏りが出て、親指が外反(指先が足の外側の方に向くこと)していくのです。
(出典:イラストAC びーちゃんさん)
大人の外反母趾では、加齢や運動不足で筋肉や靭帯の力が弱まってアーチが低下したと考えられますが、子どもは足のアーチが育っていく最中です。
子どもの足の親指が外反母趾気味なのは、足のアーチを形づくる筋肉や靭帯の力が充分に育っていないのかもしれません。
足のアーチ力を弱めてしまう靴とは
話を進めやすくするために、足のアーチを形づくる筋肉や靭帯の力を「アーチ力」と呼びたいと思います。
外反母趾の原因はアーチ力の弱さにありますので、予防にはアーチ力を高めることが欠かせません。
アーチ力を高める方法は後ほど説明しますが、ここではアーチ力を弱めてしまう「靴」についてお話しします。
足に良くないのは、つま先の細い靴だけではない
外反母趾につながってしまう靴は、足の指先を圧迫するようなつま先の靴だけではありません。
足の本来の動きが妨げられるような靴だと足の筋肉を正しく使えず、どれも外反母趾につながる可能性があります。
たとえば、脱ぎ履きしやすいスリッポンタイプの靴や、足のサイズに合わない靴です。
足のサイズは、長さだけでなく、幅が合っているか、足首周りの太さに合っているかどうかも、足の動きに影響します。
これらの点は、靴を専門店で買われているのであれば、そこで相談されるのが良いと思います。
間違った靴の履き方も足にダメージを与える
靴そのものに加えて、改めて確認してみてほしいのが「靴の履き方」です。
足にとって良い靴を履いていても、靴を正しく履いていなければ、足はダメージを受けます。
4歳のお子さんなら、もう自分で靴を履いていると思います。
靴がゆるみなく履けているかどうか、出かける時にチェックしてみてください。
足のアーチ力を高める方法
足のアーチ力を高めるには、足をしっかり使って育てることにプラスして、上半身を鍛えることをおすすめします。
足元が不安定な場所で筋肉をくまなく使って
足をしっかり育てる方法は、とにかく毎日の運動量を増やすこと。
「体を動かして遊ぶ時間や歩く機会を増やそう」と意識して生活してみると、それぞれの家の事情に合ったタイミングが見つかってきます。
そのとき、斜面や凹凸のある足元が不安定な場所を選ぶと、大きな筋肉から小さな筋肉までくまなく使われて、より効果が高まります。
自然の起伏に富んだ公園での外遊びや、坂道や階段のある道の散歩など、毎日の中に少しずつでいいので、取り入れてみてください。
(親子足育クラスにて)
上半身を支える筋肉を鍛えて足への負担を減らそう
足の問題は足下だけの話ではありません。
足下が気になる子の体をみると、姿勢もどこか気になるところがあり、上半身を支える筋肉の弱さを感じます。
重力に抗って上半身を支える筋肉が弱いと、足にかかる負荷が大きくなってしまいますので、上半身を鍛えましょう。
這う姿勢での遊びや手押し車(足を抱え持って手で移動する)、雑巾がけなどの「手で体を支えて移動する動き」を、毎日少しずつでいいので続けてみてください。
たとえば、「お風呂に入るときは手押し車で移動」というように、毎日やっていることに組み合わせると続けやすいですよ。
足のアーチ構造は、6歳頃には大人にほぼ近い形状になると言われているので、4歳の今が鍛え時です。
(「手押し車」親子足育クラスにて)
まとめ「外反母趾を防ぐために、足のアーチ力と上半身を支える力を高めよう」
外反母趾になる根本的な原因は、足のアーチの力が弱いことにあります。
幼児期は足のアーチの発達の途上にあるので、今の時期に足のアーチ力を高めることが、一生に渡っての足のトラブルの予防につながります。
足の本来の力が発揮できるような構造の靴を、サイズの合うものを選んで正しく履き、毎日たくさん体を動かしてください。
そして、足だけでなく上半身までしっかりと育てていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この記事は、メールマガジンで配信したコラムを加筆再編してお届けしました。
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100歳まで歩ける足を育てる保育士
足育アドバイザーⓇ 成田あす香