みやざき足育センターで開催している親子足育クラスでは、足のことだけでなく、子育て全般について質問をいただきます。
中でも毎年1回は出てくる質問が「箸の練習はいつから?」というもの。
たとえば…
- 箸をまだ持てないのに持ちたがる1歳児さん
- 幼稚園に上がる前に持てるようにした方が良いか心配な2歳児さん
- 箸の持ち方がおかしいので、グッズを使って練習しようかと考えている3歳児さん
生活に欠かせない箸だけに、子どもの年齢によって、いろいろ気がかりがありますよね。
そこで、本日は箸を持ち始める時期について、運動発達の視点からお届けします。
そもそも箸を使える年齢は何歳?
子どもの発達の流れで見ると、箸だけで食事をするようになるのは「4歳~4歳6か月頃」のこと。
だから、この頃までは箸を上手に持てないからといって、気にしなくても大丈夫です。
もちろん、個人差はあって、早く持ちたがって上手に持てる子もいれば、持ちたがるけど上手に持てない子もいます。
箸を正しく持つ力があるかどうかは、手の動きで分かります。
親指、人差し指、中指の3本を閉じたり開いたりできるかどうか。
私は手遊びで「こぎつね」をやって、この動きができるかどうかの目安にしています。
こぎつねができるくらいなら、箸を正しく持つ練習を進めてOK。
できなければ、まだ手の力が追い付いていないと判断し、「持ちたがったら持たせてもいいけど、練習はしなくていいよ」と伝えています。
そして、箸を使う動きにつながっている遊びをやっていきます。
からだの中心から末梢へ
運動発達の原則のひとつに「からだの中心から末梢へ進む」があります。
手先を器用に使う箸は、からだの末梢を使う運動。
箸を上手に使うためには、からだの中心である、背骨、肩、腕の動きが先にできていないといけません。
0歳から1歳の頃に見られた次のような動きから、背骨、肩、腕の動きは発達していて、手先を器用に使う力が育ち始めています。
- 寝返り
- ずりばい
- はいはい
- 高ばい
- 押す(箱や椅子などなんでも押したがる時期あり)
- 股のぞき(1歳台で一時期ブームになる動き)
- 後ろ歩き(これも一時期ブームが来ます)
大きな動きから小さな動きへ
運動発達の原則でもう一つ紹介したいのが、「大きな動きから小さな動きへ」という流れ。
手先を細かく使う動きができるには、その前に、手全体を使った大きな動きをマスターしていることが必要です。
手全体を使った次のような遊びをたっぷり経験することで、箸を持てる手先の力が育ちます。
- はいはい(高這いの雑巾がけはおすすめ)
- 高いところへ「よじ登る」
- いすや箱、大人の体を「押す」
- 鉄棒など「ぶら下がる」
- 親の体やターザンロープなど「しがみつく」
- テーブル、いす、太鼓などを「たたく」
- ボールなどを「投げる」
箸の練習の前に、体作りが大事
子どもの発達の流れで見ると、箸だけで食事をするようになるのは「4歳~4歳6か月頃」。
運動発達は「からだの中心から末梢へ」「大きな動きから小さな動きへ」と進む原則があります。
箸を持つ力を育んでいるのが、背骨、肩、腕、手のひらを使った、0歳からの全身運動です。
まだ箸を持つ年齢でない場合は、早く箸を持たせたり、うまく持てないと焦る必要はなし。
4歳頃に箸を持つ力が育っているように、今は全身を使ってしっかり遊びこんでください。
箸をもつ目安の年齢を超えても、箸が上手に持てない場合は、一生懸命に箸を持つ練習をするよりも、箸を持てる体を育てる方が先。
やっぱり、全身を使った遊びをたっぷりしてください。
お勧めの本もご紹介!
最後に、お勧めの本もご紹介したいと思います。
0歳~6歳 子どもの発達と保育の本(Gakken保育Books)
河原 紀子 (監修), 港区保育を学ぶ会
親子足育クラスで子どもたちの発達を見守るにあたって、指針にしている本の一冊です。
発達に合わせて伝える 子どものための食事マナー (メイトブックス)
NPO法人みんなのお箸プロジェクト (監修), 星野はるか (イラスト)
図書館の新刊コーナーで見かけて、すぐに読みました。
【食事マナーは「姿勢」から!」】と体づくりと発達に見合う道具を選ぶ大切さが書かれています。
日常の子育ての参考になることがいろいろ書いてありますので、良かったら読んでみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。